周囲の森の話

「土地を探して三千里」でお話ししたように、ここは不思議
な森です。
 移り住んで最初の来訪者は、セミとカブトムシでした。
朝起きると、数えきれない小鳥たちが元気に飛びまわって
います。けっして山の中ではないこの場所に、ここだけ失
われた世界のように森が存在していました。田園地帯の中
にポッカリと、、、。
 実はその昔(昭和初期)、とある会社が東側の山に地下
隧道を掘る事業があり、その時掘り出された土がこの場
所に置かれたという歴史があるようです。ひょっとしたらこ
の場所だけ周りと違う太古の土なのかもしれません。
 やがて、この場所に木々が育ち、鳥や小動物が集まる
ようになりました。生き物たちの楽園のように、、、。動物
たちが集まり、動物たちにとって心地良い場所は、きっと
人間にとっても心地良い場所に違いない、と思いました。
 この土地に出会った時、この土地には造成の計画もあ
りました。すべての木を伐採し、斜面はひな壇に造成して
5〜6区画に分けて分譲地として売られる計画です。当然
この森はなくなってしまいます。
 一本の木を切ることなくこの土地を買いたいと思いまし
た。とても形の良い木や、大きくてりっぱな木もたくさんあ
りました。その木に鳥の巣箱と掛けよう。朝、テラスのベン
チに腰掛け、小鳥たちのさえずりを聞けるようにしよう。
 それが最初のイメージでした。